ブラキシズムとは咬みしめや歯ぎしりの総称です。
自分では気づかず我々歯科医師の指摘によってはじめてわかるということも少なくありません。力作業や集中・緊張する仕事中に無意識に、又は就寝中に発生します。
原因はまだよくわかっていませんが、ストレスや高さの合っていない冠や詰め物、咬み合わせのバランスが悪い場合は歯科医師によって改善していきます。
歯がしみる、咬むと痛い、顎が痛い等の症状が出てきます。著しい症状の場合、歯の摩耗・破損、詰め物や冠・ブリッジの脱落、知覚過敏、顎のこわばりがあらわれます。強く咬んでいる方は舌にも頬にも力が入っている為、歯の圧痕が見られます。
冷たいものや熱いものを食べるとき歯がしみて、歯ブラシを当てただけで痛い等の知覚過敏症状をおこす時があります。以前はこのような症状は歯ブラシのかけすぎによって起こるとされていました。しかし近年、知覚過敏の最も大きな原因は「歯ぎしり」や「噛みしめ」などの癖、ブラキシズムであることがわかってきました。
朝・昼・晩の食事中における上下の歯の接触時間はトータルすると20分位と言われています。また、食べ物を咬む力はそんなに大きな力ではありません。
しかし、仕事中やストレス状態が長く続くと無意識のうちに長時間強い力で歯を喰いしばってしまうことがあります。
最近はPC・スマホ等の操作中に、目や手だけが動いて口は喰いしばってしまう方が増えています。
長時間の咬みしめは、歯と骨の間の歯根膜という部分が貧血を起こし痛みが出てきます。また、側方への揺さぶりは破壊的な力であり、歯根の破折や歯を支えている骨の吸収を起こし、難治性の歯周疾患に大きく関与してきます。
歯軋りによる歯の磨耗を防いだり、顎関節への負担を暫間的に軽くするには、「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを装着するのが一般的です。ナイトガードは歯型を取り、患者さん一人ひとりに合わせて作成します。
ナイトガードは歯ぎしりを止めさせるのではなく、ストレス解消の為に
スムーズに歯ぎしりさせ、かつ、歯を守るものです。
また治療が必要な歯はきちんと治しておくことも大切です。悪い歯や痛い歯があると片咬みしやすく咬み合わせのバランスが崩れたり、ストレスを生む原因となります。咬み合わせのバランスを整える為、場合によっては矯正を行うこともあります。
歯ぎしりや喰いしばりは相当な持続的な力がかかっているとされています。日中は出来るだけ上下の歯を離す、リラックスする、肩の力を抜くことを意識してください。
重いものを運んだり激しい運動をする際には注意します。就寝時はナイトガード(上下の歯の間に入れるスプリント)を装着し、リラックスしたイメージを持って楽な姿勢で休むことが望ましいです。